木と樹の話 No.3ケヤキ
ナラ、ブナと来て3回目は何にしようかと考えましたが、なじみの深い広葉樹と言う事で、ケヤキを選びました。
ケヤキと言えば、公園樹や街路樹として多く植栽されていますので、生きている樹としてはかなり身近な方の部類に入るのではないでしょうか?春先の新緑はエラク美しいです。昔から身のまわりのものを作る材料としても使われてきた木なので、樹の名前をあまり知らない人にも知られている木だと思います。
ケヤキは本州以南の日本と、朝鮮・台湾・中国に分布します。近い種類の樹は、アジアには分布するようですが、欧州や北米にケヤキに近い樹はないため、ナラにとってのオークや、ブナにとってのビーチのように対応する樹がありません。そのため、海外ではケヤキを”Zelkova(ゼルコバ=ケヤキの学名)”と呼ぶそうです。
ケヤキは自然状態では丘陵地や山地に生えていて、川岸や沢沿いの斜面など水分の多いところに生えています。先に書いたように、公園樹や街路樹、お寺や神社などに植栽されることが多く、割と水はけの良い所に生えそうなイメージがあったので、山を歩いていて、初めて沢沿いでケヤキ林を見つけたときはとても意外に思ったものです。
東京の武蔵野地域では、防風林として植栽されたものが街中にも残っていて、時々、かなり大きなサイズのものが住宅街の中に生えているのを見かけます。中にはかなり無惨に剪定されている時もあって、太さ70-80cm位の幹が、高さ8m位の所でバッサリと伐られていたりするのを見ます。そりゃぁ、もう、「なんじゃコリャ?」って感じです。切り倒されるよりはマシとはいえ、樹のことを思うとちょっと気の毒です。
木としてのケヤキは、強度と耐久性があり、加工もしやすかったことから古くから色々な用途で使われています。お椀やお盆などは皆さんの家にも一つくらいは有るのではないかと思いますし、座卓なんかもよく見ますよね。多くの場合、漆や漆に似せた飴色の塗装がされていることが多いので、木工をされない方は木地の色がどんなか知らない方も多いのではないのでしょうか?
私も初めてケヤキの木地の色をを見たとき、「ケヤキの色って、こんなにキレイだったんだ!」と、とても新鮮な驚きを持ちました。ケヤキの木地の色は、心材が黄色からオレンジのような色、辺材が淡い黄色で、両者のコントラストもとてもきれいです。
あと、これも木工をされない方にはあまり知られていないと思いますが、ケヤキを加工すると、お香のような独特の香りが辺りにひろがります。最初、知らなかったときは、昇降盤の前で「この匂いはどこから来ているのだ?」と辺りを見回してしまいました。自分が手元で加工しているケヤキ材からその匂いがしていると気付いたときは、「へぇ~。」といたく感心しました。
ケヤキというとやはり和風のイメージが強いし、=漆(風)塗装がされることが多いのでしょうが、もっとオイル仕上げを見直しても良いんじゃないでしょうか?あまり色の濃くない、淡いオレンジ色位の材を使ってテーブルとか作ったら格好いいんじゃないか?と思ってます。
実は私の所に1枚、ケヤキの耳付き板(580×1200位)があります。きれいなオレンジ色です。芯が入ってますが、割れはあまり入っていません。どなたか、これでテーブルとか座卓とか如何ですか?勉強しときますよ(笑)。
そういえば、神社仏閣というとヒノキとかの針葉樹材で建てられているのが多いかと思っていたのですが、中にはケヤキで建てられたものを見ますね。ほとんどの場合、長い年月の間に色が黒ずんでいるので、パッと見にはわからないことが多いのですが。新しいときには、そりゃぁ、キレイだったのではと想像します。私の記憶が確かなら寅さんで有名な葛飾柴又の帝釈天はケヤキ材でした。皆さんの近くのお寺やお宮さんはどうでしょう?
| 固定リンク

コメント
はじめまして。
ケヤキについての記事を書かれていらっしゃるので、トラックバックさせていただきました。
差し支えございましたら削除ください。
どうぞよろしくお願いいたします。
投稿: KAKU | 2006年4月27日 (木) 18時26分
KAKUさん、トラックバック有り難うございます。ちゃんとしたトラックバックは実は初めてなので、嬉しい限りです。HPの方では以前からKAKUさんのことは存じ上げておりました。木工界の先輩として、また何かありましたら是非、TB等々お願いします。
投稿: TAZAWA | 2006年4月28日 (金) 00時12分